リコちゃんとピンくんと双極性障害

双極性障害の夫婦のお話

一年後に離婚します

あらすじ

ある日、ピンくんはリコちゃんの琴線に触れることをしてしまいました。

さらに、そこに双極性障害が邪魔をしてきました。

弁明のコミュニケーションも取れなければ

ピンくんから歩み寄って、仲直りもすることもできません。

なあなあとなっているうちに、リコちゃんは体調不良。

言いたいことを全て飲み込み、精一杯、リコちゃんの体のケアをしていたピンくんは

今までの辛さを一気に思い出し

「離婚」の二文字を頭に思い浮かべてしまいました。

 

でも、あと一年我慢しようとも思いました。

 

 

 

 

 

 

 

ピンくんはパソコンを使うお仕事をしています。

ある日弟から、結婚式に使うDVDを焼いてくれないかと頼まれました。

 

これについてリコちゃんから

①ピンくんは普段から時間がないと言うのが口癖のくせしてなぜ弟の結婚式の準備なんかを手伝うのか

②私が手伝ったらすぐに終わったのに、無駄に時間をかけた

③私は時間を作るために努力している、あなたは関係のないことをして浪費している

 

という3つの主張でブッチギレられました。

 

 

ピンくんは家から逃げて近所のガストに篭りました。

怒りで発狂しかけていましたが、悲しく絶望の中にもいました。

リコちゃんの父親とピンくんの母親に「もう離婚するわ」とLINEを送ってしまいました。

 

チキテキスパイス焼きを500円クーポンで2つやけ食いしたらどうにか落ち着いてきました。

慌ててリコちゃん父に謝罪の連絡をしましたが

、、、返信なしです(ゲンナリ

 

 

リコちゃんの3つの主張について

ピンくんの主張を書いていきます。

 

主張は主に3点

①事前に、一日潰れることは伝えていたのだから怒らないでほしい

②自分も手伝うというのはリコちゃんからの提案だったので、怒らないで欲しい

③お互いが日々頑張っているはずなのに、一方的なこの仕打ちはしんどい

 

 

①事前に、一日潰れることは伝えていたのだから怒らないで欲しい

ピンくんはDVD作業にどれくらい時間がかかるかは予想できませんでした。

また、最近ピンくんは仕事のストレスが溜まっていました。

そのため、この日1日は1人の時間として使わせてもらい

リラックスや勉強時間に当てたいと、リコちゃんに事前に伝えていました。

「伝えていました」と書きましたが、怒られた以上伝わっていなかったのだと思いますが

 

重要な点は

この日ピンくんが何をしていようがリコちゃんからはどうでも良いはず

と言う点です。

 

1人の時間にして欲しいと言っているんですから

DVDを作っていようが、遊んでいようが、どうでもいいはずです。

何も関与して欲しくなかったのです。

 

でもリコちゃんからすると

ピンくんのしている事が自分の想定の範疇に無いことが

とても腹立たしいと感じているようでした。

 

「普段忙しくして遅く帰ってくるくせに

休日も弟から引き受けた作業をして、なぜ私を放って置くのだろうか」

と、リコちゃんは思っていたのかもしれません。

 

確かにリコちゃんからすると

自分のパートナーが仕事を忙しくし過ぎている状況は嫌だと思います。

しかし、ピンくんの言い訳として

日本のサラリーマンが、どれだけ自分の仕事時間をコントロールできるものかと

日々頭を悩ませている状態なのを、わかって欲しいのでした。

 

また、この話は結婚式のご祝儀がわりに引き受けていました。

弟一家に対して一方的に損をする話ではなく

そういった側面はリコちゃんに説明していました。

 

それでもリコちゃんは、ピンくんがDVD作業を始めてから

その内容について聞いてきたり、作業中話しかけたりしてきました。

作業中に何度も話しかけられ、効率が落ちていくことに

ピンくんはどんどん精神を削られていました。

 

ピンくんとしてはこの1日、何も干渉してほしくありませんでした。

 

 

②自分も手伝うというのはリコちゃんからの提案だったので、怒らないで欲しい

作業が始まってからすぐ、ピンくんとリコちゃんはこのような会話をしました。

 

ピンくん

予想よりちょっとかかりそう。調べながら行っているので、自分のリラックスや勉強の時間が減るかもしれないがこだわって完成させたい。

少なくとも夜にはDVD完了して、少ないながらも自分の時間はできる。今日はそれで十分。

 

リコちゃん

自分は結婚式に何度も出たことがあり

DVD制作は簡単でそう時間がかかることでもない

元々あなたが自分のために使うはずだった時間を潰す必要はない

また、作業の一部は私ができそうなのでやろうか?

 

また、上記の話に加えて少し時系列が飛びますが

以前からリコちゃんはピンくんに対して伝えていることがありました。

「ピンくんは人に頼らずに抱え込むからそんなに時間がない人間なのだ」と

 

ピンくんはこれについては少し憤慨しつつも

いつか改善につながるアクションを起こしたいと、常々思っていました。

 

 

今回、リコちゃんから手伝いの申し出があり

ピンくんには人に頼るアクションが求められている状況ということになります。

なので、ピンくんはリコちゃんにお手伝いを頼みました。

この日、ここまでの会話ができていたため

リコちゃんは双極性障害における躁寄りの状態にあり、何か作業を頼んで問題ない状態にも見えていましたので

 

 

ピンくんがリコちゃんに頼んだお手伝いは、一部映像のカット作業です。

かなり簡単な作業のはずです。5分くらい。

 

この時ピンくんは

動画ファイルとアプリの相性でそもそもファイルを開くことができないという

作業の本質とは関係のないところで引っかかっていました。

 

対してリコちゃんは相性のいいアプリを探すところから開始

 

注意点としては、2人が同時に行うことになる点がありました。

同時に行うということは、作業が被っていると言うことで

最悪どちらかの作業が無駄になる可能性がありました。

それでもリコちゃんは自分の勉強になると言いながら引き受けました。

 

 

結果、2人の作業は同時に終了し、ほぼ同じデータが出来上がりました。

ピンくんはそのまま自分のPCで作業ができるため

自分が上げたデータで作業を進めることを選びました。

PC上で作成していたため、フォーマットも信頼できましたし。。

 

リコちゃんのデータは、完成品に対しては無意味になってしまった形です。

 

リコちゃんはこのタイミングで静かに怒りながら

部屋に戻ってカップラーメンを食べ始めました。

ピンくんは一瞬落ち着いてから妻の部屋に行き

何がダメだったか聞きに行きました。

 

しかし

「ご飯を食べてイラつきを抑えているのに、気分が悪いだろ」

と怒られて、追い出されてしまいました。

 

 

双極性障害に負けずに何かをやりたい気持ちは応援したいし

手伝いたいと言われた時嬉しさもあったのですが

全ての感情を飛び越えて、怒られてしまったことを

ただただ反論せず飲み込むしかないのが、ピンくんにはただただ辛かったです。

反論しても、体調が悪くなり

ピンくんの負担が増えるだけなので

 

 

③お互いが日々頑張っているはずなのに、一方的なこの仕打ちはしんどい

さて男性の皆さんは、奥さんの嫌な点を自分の母親に話しますか

ピンくんはこれまで話していませんでした。

 

偏見もあるかもしれませんが

一般的に良い夫を目指すのであれば

自分の奥さんの味方でありたいため、奥さんの嫌な部分を母親に話すことは躊躇されると思います。

子育てや金銭面のサポートを受けていたり、そういった関係性がある家庭であれば

なおさら今後の影響などを考えて行えないと思います。

例えば、もし子どもを連れて実家に帰るなどのイベントがあった場合

自分の母親が奥さんを何か悪い情報を含めて見ることは、嫌だと感じませんか。

ピンくんはそのように思っていました。

 

後戻りできない一線を越えてしまった

そういった感覚を味わいながらも、ピンくんはLINEで母親に慰められ

最悪離婚も仕方ないよね。心配しないで〜と、重くなりすぎないように伝えられました。

 

今まで、子供の頃には感じ取れなかった親の強さに驚きつつも

少し楽になったピンくんは帰宅できました。

 

ピンくんが帰宅すると

その頃には、すでにリコちゃんはケロっとしていました

 

リコちゃんはお昼ご飯におじやを作っていました。

ピンくんに少しくれました。

 

おじやはおいしかったのですが

何か有耶無耶になってしまった空気に

ピンくんはこれ以上何もする気が起きませんでした。

 

今日も寝る前の日課である、洗濯と食器洗いをこなしつつ

 

リコちゃんに、疲れ切って鬱症状が出ていると言われたので

言われるがまま、飲み物を運んだり、お風呂に入っている間励ましたり

少しパジャマを着せたり、寝る前のマッサージをしたり、奉仕行動を行いました。

 

寝かしつけた後、ピンくんは身体中の疲れとしんどさを噛み締めながら就寝しました。

 

 

ピンくんは心が折れてしまいました。

母親に送った「離婚」の文字が、ピンくんの中で大きくなり始めてしまいました。

 

 

ピンくんはなぜなのかもう一度考えました。

コミュニケーションを蔑ろにしてしまったのだろうか?

自分の時間が欲しいことに、目を向け過ぎていたのだろうかと

 

 

名もなき家事、と言う言葉が流行っていますが

ピンくんには、この日も行ったマッサージや、服を着せるなど

リコちゃんに対する細かな「名もなき奉仕行動」が存在しました。

 

 

日々の名もなき奉仕行動は

実質的にリコちゃんとのコミュニケーションの時間と考えられました。

ピンくんの中では、相当の時間がそれに該当しました。

 

ピンくんはこのようなことをリコちゃんに伝える際には

細かい単位で、なるべく明るく

今日は少し疲れちゃったからマッサージできないや

などと、具体的にどうしたいかを伝えるしかありませんでした。

 

 

タイミングを間違えて躁状態の時に伝えでもしたら

かなり極端な議論になりがちでした。

 

 

躁状態のはリコちゃんはピンくんに対しての奉仕行動が増えるので

リコちゃんがその奉仕行動の差に対して実感を持つのが難しいところもあります。

では、うつ状態の時はというと、とても何かを言える状態ではなく

差は広がる一方です。

そもそも、このような行動の差を考えていること自体

愛や夫婦とは程遠い感覚と感じられて、ピンくんはもっと悲しくなっていきました。

 

 

コミュニケーションの時間について

必要量がどれくらいなのかと言うのは個人的な感覚が多く、難しいところだと思いますが

ピンくんからリコちゃんに対する奉仕行動の方が多い

というのをあくまで客観正しさとして思考を続けると

それを労われず、むしろ怒りを振るわれることに対して

とてつもない辛さを感じざるを得ない、ピンくんでした。

 

 

このような状態であることを

夫婦として相手と議論し、軌道修正することに挑戦することすらできないのが

双極性障害者をパートナーとする夫としての辛さだと、ピンくんは考えました。

 

ずっと、お互いに、自分の方が我慢している

リコちゃんは病気で辛いし、戦っている

ピンくんは、ずっと自分が我慢し続けている感覚が払拭できない、、、

 

ピンくんは、壊れそうな自分を抑えながら

記事名にある、一年後に離婚するという結論を出しました。

 

 

ピンくんには、リコちゃんを好きだという気持ちはあります。

でも、持ってあと一年という感覚があります。

 

残りのエネルギーを使い切って何かできないかを考えた結果

次回は、ピンくんがカウンセリングへ行ってきた話を書きたいと思います。